MRI装置の原理とインプラント-3
MRI検査とインプラント・銀歯 | 安全な検査のために
MRI検査を受ける際の、インプラント・銀歯の影響と注意点を解説します。
MRI検査とインプラント・銀歯の解説動画
まずは、MRI装置の原理とインプラント(Ⅲ)についての動画をご覧ください。
動画の解説文
MRI検査は、強力な静磁場と高周波電磁波を利用して、体内の組織を画像化する技術です。 まず、MRI装置の原理を簡単に説明します。 一般的なMRI装置では、頭部側がN極、足元側がS極になるように静磁場が形成され、体内の水素原子核、すなわちプロトンの向きを整列させます。 次に、高周波電磁波を照射することで、整列したプロトンの向きを一時的に変化させ、 照射停止後にプロトンから放出される信号を検出し、体内の組織を画像化します。 インプラントに使用されるチタンは、非磁性体に分類されます。 これは、磁場に強く引き寄せられる磁性体、 例えば鉄、ニッケル、コバルトとは異なり、磁気を帯びにくい性質を持つことを意味します。 そのため、チタンはMRI検査中に磁場によって強く引き寄せられることはありません。 また、磁性体のように磁場によって、直接的に発熱するリスクも低いとされています。 しかしながら、MRI装置では高周波電磁波も利用されるため、導電性を持つチタンは、変動する磁場や高周波電磁波にさらされると、うず電流が発生する可能性があります。 うず電流は金属内部を流れ、電気抵抗によって熱エネルギーに変換されるため、発熱を引き起こします。 インプラントに使用されるチタンは、導電性を持つため、MRI検査中にうず電流が発生し、わずかに温度が上昇することが考えられます。 これまでの研究によると、この発熱の程度はごくわずかであり、人体に影響を及ぼすほどではないことが示されています。 2011年のシーハンらの研究や、2009年のニッツらの研究では、 インプラント周囲の温度上昇は、臨床的に許容される範囲内であることが示唆されていますが、 実際の生体環境での影響は、まだ十分に解明されておらず、さらなる研究が求められます。 その他、導電体である銀歯、保険適用のチタン合金は、高周波電磁波にさらされると、うず電流が発生する可能性があります。 実際の生体環境では、人体は、低周波の生体電流によって制御されており、うず電流が直接人体に流れた場合、その影響は微弱であると考えられます。 また、人体は基本的に不動態であるため、うず電流は遠くまで流れず、その影響は局所的であると考えられます。 しかし、インプラントに接している皮膚や粘膜は、間接的に帯電する可能性があり、その影響が人体に及ぶ可能性も指摘されています。 私はこの点について実験的に検証を行い、一定の科学的根拠を得ました。 例え、このようなMRIの中ではなく、携帯電話などで使用されている周囲の高周波電磁波だけで、頭痛や、めまい、食いしばり、記憶障害などが起こる事例があり、 私も、全国からいらっしゃる、電磁波の影響を受ける患者さんを、たくさん治療してきました。 ただし、これらの情報を歯科医師に伝えても、専門分野の違いから、十分に理解されない場合もあるかもしれません。 その際は、ご自身の判断を尊重し、必要に応じて、他の専門家にご相談いただくことも選択肢の一つです。 当サイトでは、高周波電磁波に詳しい歯科医師が、銀歯などの除去方法について、ご相談を承っております。 ご自身で判断せず、ぜひ当サイトにご相談ください。
MRI検査と歯科金属の影響
MRI検査では、強力な静磁場と高周波電磁波が使用されるため、歯科金属が以下のような影響を受ける可能性があります。
- うず電流の発生:導電性を持つチタンや銀歯は、高周波電磁波によりうず電流が発生し、発熱する可能性があります。
- 発熱のリスク:インプラント周囲の温度上昇は、臨床的に許容される範囲内であることが示唆されていますが、実際の生体環境での影響は不明確です。
- 皮膚や粘膜への影響:インプラントに接している皮膚や粘膜は、間接的に帯電する可能性があり、人体に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
- 画像の歪み(アーチファクト):金属がMRI画像の品質を低下させ、診断精度に影響を与える可能性があります。
- 電磁波過敏症の方への影響:MRI検査による電磁波の影響で、電磁波過敏症の症状が悪化する可能性があります。
MRI検査を受ける前のチェックポイント
- 歯科金属(インプラント、銀歯など)を使用しているか確認する。
- 過去にMRI検査で体調不良を起こしたことがあるか確認する。
- 電磁波過敏症の症状があるか確認する。
MRI検査を受ける際の注意点
- 歯科金属を使用していることを医師に伝える。
- 検査前に歯科医師に相談し、金属の種類や状態を確認する。
- 検査中に体調が悪くなった場合は、すぐに医師に伝える。
- 検査後に体調が悪くなった場合は、医師または歯科医師に相談する。
- 電磁波過敏症の方は、事前に医師に相談し、検査方法や対策について相談する。
記事執筆者プロフィール
経歴: 健康や電磁波環境について研究・発信する専門家。
専門分野: 特任教授、歯科放射線博士、元開業医