ページの記事は本日に編集した最新の内容です。

界面活性剤

陽イオン界面活性剤としての作用機序
まず金属から溶け出たMn+(陽イオン)が直接触れている部分や、あるいは唾液を介して経口的に血液中に溶け込み、体の他の部位へ運ばれます。皮膚や粘膜のタンパク質と金属イオン(陽イオン)が結合し、体が本来もっていないタイプのタンパク質に変化します。このタンパク質に対して免疫細胞が過剰に反応すると炎症が起こります。歯の詰め物や被せ物として使われている「金銀パラジウム合金」が、金属アレルギーを引き起こす要因となっている方が増えていることも、問題視されております。

そもそも「界⾯活性剤」とは︖
界⾯活性剤は下図のとおり「マッチ棒」のような形をしていると考えてください。マッチの丸い頭の部分が「水とくっつく場所」(親水基)で、細⻑い棒の部分が「油(脂)とくっつく場所」(親油基)です。
※交じり合っていない水と油(脂)の境目を「界面」と呼び、その両者をつないで「境目/界面」を無くす⇒水と油(脂)が境目なく自由に動き回れるようにする⇒界面を活性化させることから「界面活性剤」(英語ではsurface active agentを縮めて「surfactant」)と命名されました。

界⾯活性剤
画像の説明

洗浄製品の界⾯活性剤

洗顔料やシャンプーなどの洗浄製品は、水と界面活性剤からできており、基本的に油分は香料などに限られ殆ど配合されていません。そのため、洗顔料やシャンプーには、上図の「棒」(親油基)がむき出しになった単体の界面活性剤(モノマー)が存在し、その棒が皮膚や毛髪に接するとその表面に存在する「皮脂」とくっついて乳化します。
つまり、顔や頭髪の汚れを落とすメカニズムとは、体の表面に存在する皮脂が汚れを捉え、それを洗浄系界面活性剤が水と混ぜ合わせて乳化、即ち、汚れを含む皮脂を“水に混ざる状態”に変えたあと、大量の水で流し去るというものです。
画像の説明

また、シャンプーの後に使うリンスやコンディショナーの本質的機能も界面活性剤が担っています。シャンプーなどに使われる洗浄系界面活性剤はマイナスの電荷を持っているため、シャンプー後の髪の毛はマイナスに帯電しています。そして、マイナスに帯電するということは、いわゆる「静電気」を帯びている状態ですので、そのまま乾くと髪の毛は空気中のホコリなどを吸着しキューティクルを傷めてしまいます。それを防ぐために開発されたのが、プラスの電荷を持った界面活性剤を配合したリンスやコンディショナーです。今は髪の毛の傷みを防ぐ保護成分とか、髪の毛の栄養成分などをふんだんに配合したコンディショナーが主流ですが、本来の目的はマイナス電荷とプラス電荷の電気的中和ですので、付けた瞬間にその役割は終わっています。

界⾯活性剤の天然と合成とは

自然界に存在する界面活性剤の代表例は、大豆や卵黄に含まれる「レシチン」(リン脂質)、牛乳の「カゼイン」(タンパク質の一種)、大豆・高麗人参・ムクロジなど多くの植物に含まれる「サポニン」で、マヨネーズは卵黄レシチンが、牛乳はカゼインが「乳化剤」として機能しています。一方、サポニンには起泡力もあるため、かつてサポニンを多く含む植物は石鹸代わりとしても使われました。
しかし、これら自然界の界面活性剤は総じて界面活性力(水と油をつなぎ留めておく力)が弱く、3年以上の安定性を保証しなければならない医薬品や化粧品の乳化剤・可溶化剤として使われることは稀です(マヨネーズを冷蔵庫から出して放置すると容易に分離するのは、卵黄レシチンの界面活性力が弱いからです)。

そのため、医薬品や化粧品に使われる界面活性剤の殆どは「天然からの抽出」ではなく、「人工的な合成」によってつくられていますが、親水基と親油基に使える物質は複数あるため、その組合せである合成の界面活性剤も非常に多くの種類があります(数千種類とも言われています)。
また、使われる親水基・親油基にも天然系と合成系があり、親水基に「グルタミン酸」「アラニン」「タウリン」などのアミノ酸系名称や、グリセリンを表す「グリセリル」の名前があるものは天然系、逆に「硫酸」「スルホン酸」「エタノールアミン」などの名前があると合成系親水基。一方、親油基の場合は、ヤシ油脂肪酸の総称である「ココイル」や「コカミド」、ヤシ油を含めた脂肪酸個々を表す「ミリスチン酸」「ステアリン酸」「オレイン酸」「リノール酸」などは天然系。逆に、「ドデシル」「PEG」(ポリエチレングリコール)「PPG」(ポリプロピレングリコール)「オレフィン」などが書かれていると合成系親油基を表します(ただし、PEGやPPGは分子量が小さいと親水基になる場合があります)。

一般的に、水と油をつなぎ留める力が強いと洗浄力も強い傾向にあります。そのため「優しい洗浄成分」などと喧伝されている洗顔料やシャンプーには、アミノ酸系の親水基と天然ヤシ油系の親油基を組み合わせた界面活性剤が多く見受けられます。また、乳化剤として使われる界面活性剤は、水と油の量や比率によって求められる界面活性力が異なるほか、製品中の水性成分・油性成分と親水基・親油基の“相性”の問題もあるため、それらを総合的に考えて配合する界面活性剤の種類と量が設計されています。

化粧品に使用される陰イオン界面活性剤
【化粧品に使用される陰イオン界面活性剤の作用・効果】
化粧品における陰イオン界面活性剤は、

洗浄および起泡
乳化
主にこれらのいずれかの効果を目的として、洗浄および起泡目的の場合はシャンプー製品、洗顔料、洗顔石鹸、洗顔パウダー、ボディ石鹸、ボディソープ製品、ハンドソープ製品、クレンジング製品などに汎用され、また乳化目的で使用される場合は、スキンケア製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、メイクアップ製品などに使用されています。

化粧品に使用される陽イオン界面活性剤
【化粧品に使用される陽イオン界面活性剤の作用・効果】
化粧品における陽イオン界面活性剤は、

帯電防止
殺菌
主にこれらのいずれかの効果を目的として、帯電防止目的の場合はヘアコンディショニング製品、ヘアトリートメント製品、ヘアケア製品、アウトバス製品、トリートメントインシャンプー製品などに、殺菌目的の場合は洗浄製品、スキンケア製品などに使用されています。

化粧品の界⾯活性剤

実は、化粧品の乳液やクリーム、化粧水には、界面活性剤が使われています。乳液やクリームでは界面活性剤によって「乳化」が、化粧水では「可溶化」がそれぞれ行われています。
化粧品の乳液やクリームは、水性成分と油性成分が界面活性剤によって結び付いて乳白色の性状を呈していますが、この場合の界面活性剤は「乳化剤」と呼ばれています。また、透明な化粧水にも香料や少量の油分が配合されていることが多く、それら油分も界面活性剤によって水中に分散されているのですが、この場合の界面活性剤は「可溶化剤」と呼ばれています(乳化と可溶化の違いは油分を包んだ界面活性剤の粒子径が可視光線の波長より長いと白く見える乳化、短いと透明な可溶化になります)。

詳しく解説外部リンク